ミルクジャポンブログ記事

イベントレポート〈木村家8年の記録×井手康郎〉写真展

2016年7月4日:ミルクジャポンブログ(2012年4月〜2016年9月)掲載からの転用

代表 平野聡子 / satoko hirano

ミルクジャポンブログに約4年間の連載。テーマはお出かけ。

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写真展、おかげさまで無事に終了いたしました!

詳細はコチラ

週末の限られた時間の中での開催にもかかわらず、無名の家族のド・パーソナルな写真展に80名以上もの方々がお越しくださいました。

心から、ありがとうございました。

 

家を、まるでギャラリーに「木村家8年間の記録」

「自分達の写真を、自分達が住んでいた家にデカデカと展示する」

って、聞くと

「どれだけ、自分好きやねん」

と、思われた方もいるんじゃないでしょうか。

「俺が、俺で、俺だから」みたいなナルシシズムと自己愛に溢れた暑苦しい展示なんじゃないの?と。

このベトベトするよな湿度高い季節に、そんな展示見てられるかー!と。

 

8年間続けたこの年賀状撮影も、そのように失笑気味に受け取られている可能性は、まぁゼロではありません(笑)。

たかが年賀状の為に、毎年10月にはカメラマンと企画会議、11月に内容を詰め、12月初旬に撮影、デザイン、印刷、と時間も手間も、お金もかかっています。

私たち家族がこれを続けてこれたのは、あることに気がついたからなのです。

「これは、ただの年賀状撮影じゃない」。

 

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いや、アウトプットはただの年賀状です。

しかし、これのホントの醍醐味はその「過程」にあるのです。

まず、10月の企画会議では、その年の仕事もプライベートもごっちゃまぜの反省会からのスタートです。

「海外行きたいって思ったのに、行けなかったよね。」

「そもそも、先立つものがなかったよね。」

「頑張ったけど、いざって時の踏ん張りが足りへんかったんちゃうやろか」

などなど、赤裸々に。

 

そして、次の年の、家族が目指すべくテーマを決めます。

たとえば今年のテーマは「NEW BEAM」。

 

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闇夜を斬る一条の光線のような、鋭さと眩しさを兼ね備えた年にしたい。

この年賀状には、そんな大きな、家族の野望(笑)が、こめられているわけです。

 

チームがあってこその年賀状プロジェクト

家族になって、9年。

いつしか気持ちも状況も、あの頃とは変わってきています。

使い続けていた革の財布がフレッシュな色味から、飴色に変化していくように。

暮らしも、関係も、自分たちでデザインして育てていかなくては。と思うようになりました。

続けるうちに、いつの間にか毎年1回のこの年賀状プロジェクトは

「次の年のビジョンを夫婦で共有し、デザインし直す作業」

いわば、コーチングのような役割を担っていたのです。

関係を、アップデートしてデザインし続けるための作業。

 

ここで、大事なのは「夫婦だけじゃなく、第三者であるカメラマン(井手氏)がいる」ということ。

「客観的立場の人」がいないと、単にお互いが、わーわー言うだけのケンカに終わることも往々にしてあります。

 

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来年の抱負を話していたはずが、脱線につぐ脱線で、気がつけば

「じゃあ次の土曜日、三崎港(回転寿司)いこっか!」

みたいな、ふわっとした結論で終わったりしがちです。

だから、この年賀状プロジェクトには、チームが必要だったのです。

 

そして、長く住んだ家を引っ越すタイミングで、このプライベートな写真達を展覧会形式で、全部おひろめする計画をたてました。

家を、まるでギャラリーのようなオープンな場所にして。

親しい友人を始め、はじめましての皆さんにも、友だちの家を訪ねるように気軽に見に来てもらう。

そこにあるのは、8年間の集大成。

わたし達家族が、どんな風にここで過ごしてきたか。

必ずしも、平坦ではなかった道中、どんな関係性をデザインしてきたか。

 

写真とは正直なもので、よくよく見ると、波あり谷あり、良い時も悪い時もそのままに写っています。

まだ自分達の住んでいた気配が残る家に、妊娠中からあわせて、それら9枚の写真を大きくプリントし展示することで、その過程まるごとを作品にする。

それが、今回の「木村家8年の記録×井手康郎 写真展」でした。

 

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さようなら。また会う日まで

結果は、もう、なんていうか、胸いっぱいの2日間になりました。

新旧含め、沢山の友だちが訪ねてくれて、いろんな話をして。

はじめましての方々とは、まるで昔からの知り合いのように打ち解けられて。

わたしの大好きな友だちのお料理で、みんなが笑顔になって。

子どもらが、追いかけっこして部屋を駆けまわり、床に転がって。

 

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 「きっと、2回目の結婚式したら、こんな感じだったろうなぁ」

と、夫としみじみいたしました。

ひとつのしずくが大きな波紋となり、やがて湖全体を覆うような。

いつまでも、その余韻が身体に残ってしびれるような。

そんな一体感を作り出せたのはこの「家」で開催したからだな、と思いました。

家よ、あらためて、ありがとう。 ありがとう。

 

さようなら。また会う日まで、元気でね。

 

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こんな、プライベートをパブリックにする展覧会、かなりオススメです。

写真展じゃなくても、作品でも、なんでも、もしあなたがやりたければ、いつでも。

いつか、誰かのお家で、また会いましょう!

 

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写真展フォトアルバムはこちら

今回の写真展について、かもめブックス柳下恭平さんからメッセージをいただきましたので、最後に掲載させていただきます。

 

引っ越しを決めた僕の友人が、その家財がなくなった名残の場所で、過日、写真展を開きました。
「家族が、その家で過ごした8年間の記憶」をテーマとした、まさにその場所での写真展。
有機的な「家」から無機的な「物件」へと変わろうとする、ほんのわずかな隙間の時間。
「プライベート」から「パブリック」へと変わりつつある、あのガランとした寂寥の空間。

これから、新居での新しい時間が始まろうとしている、その直前にしかできない、ほんの二日間の素敵な時間だったみたいです。

ギャラリーでいうところの「クロージングパーティ」が、そのまま「ホームパーティ」になっていて、ステキ。
逆かな。ホームパーティがクロージングになっているというのかも。
みんな、いい顔をしているなあ。写真の力はすごい。
自分の人生にきちんとカンマを打って、次に進む。彼のコンセプチュアルアートともいえる、この企画に脱帽。
くやしいくらい、こんなこと思いつけなかった。
やるなあ、キムくん。

 

最後になりましたが、お料理でみなさんの胃袋をグッとつかんだKII MAOSことAya Miyake と尾道御調町(みつぎちょう)から美味しい野菜とハーブを届けてくださったまるみデパートの梶高夫妻にも、こころから感謝です。