【おかあさんといっしょスタジオ収録にいったよ⑤次にベルを鳴らすのはあなた編】
前回までのお話はこちら。
この日は、水曜日だったので「シルエット博士」という影フェチの変態 影が大好きな博士が、子どもたちに影クイズを出す。というコーナーの撮りがあったのだった。
娘は真ん中で体操座りをして、前のめりでクイズに答えている。
それはいいのだが、ちょっと気になることがある。
真剣すぎて顔が真顔、というかマジすぎるのだ。
(娘、クイズに対してモチベ高子なのはいいけれど・・・笑顔!E・G・A・O!)
と胸中、付け焼き刃なステージママ気分で娘を鼓舞する。
モニター越しに念を送って、ふとあることに気がついた。
ベンチシートで保護者らが見ているモニターには、いつもの放送と何ら変わらないカット割りされた映像がライブで映っているのだ。
つまり、すでに編集されているかのような映像が目の前で流れている。
常に4台ほどのカメラで撮られている映像を、おそらくディレクターさんが現場でスイッチングしているのだろう。
撮る順番も、放送と同じ。という親切設計。(ガラピコプーのシーンのみ別撮り)
そういえば、オープニング撮りの時には、すでにタイトルも入っていた。
おかげでタイトルで隠れてしまう場所や、途中で入ってくるアニメーションで見えなくなってしまう子もその場で分かる。
(娘よ、さっきからトンネルのアニメーションの影に隠れっぱなしよ!)
と、現場で叫ぶわけにもいかず、ヤキモキすると同時に
(ああ、これは後から「うちの子、汽車のアニメーションで隠れてしまってたんですけど!」とかいう毒親のクレーム防止にもなるなあ。)
などと、またまた心が汚れつちまっている私は邪推したのだった。
ところでパント!の人選はすでにオープニングから水面下で密かに行われていたようだった。
コーナー終わりで突然、お兄さんから子どもたちに
お兄さん:「さあ、今からみんなでアニメを観るよ♡」
という誘いかけがあり、おもむろにステージにモニターが出てきてみんなで、アニメーションを観る。という唐突な展開になった。
子どもたちがグッとモニターの映像に引き寄せられ、少し、ステージの照明が落ちた瞬間・・・
私は見逃さなかった。
娘の隣に座っていた女の子が、誰にも気づかれないようこっそりとお姉さんに連れ出されるのを・・・!
これが収録現場でなかったら
「おまわりさーん!!誘拐です!」
と叫びたくなるほどの、自然すぎる手際の良さ。まさに、プロのやり口。
そうして、その他の子どもたちがみんな映像に夢中になっている間に、真横のスペースで滞りなくパントの収録が執り行われるのだった。さくさくっと。
しかし、そういうのに敏感なモチベ高子は
「あれ?あの子、どこへ・・・?」
と、訝しげにいなくなった方向をチラチラと気にしていた。
そこだけ切り取ると、ちょっとしたガラスの仮面の1シーンのよう。
(残念・・・一体、どんな子が選ばれたんだろう?)
娘は常に真顔ながらも、実は歌と踊りが大好きなので、ほんのすこーし淡い期待を抱いていたけれど。
それは大前提で、それだけじゃダメなようだ。
よくよく見ていると、選ばれた子はこの限られた時間内で、一発OKを出してくれそうな子。
物怖じせず反応がビビッドで、ニコニコしている愛想のいい女の子だった。
かといって、元気すぎず、落ちつきも兼ね備えていて。
なるほど、納得だよ!納得の人選!
それにしても、そういう子をオープニングの数分で見抜くスタッフさんの眼力、すごいわあ。
きっと空のハンター・鷹並みの視力の持ち主なんだろうな。
上空1kmから地上のトンボ見つけられるぐらいの。
選ばれなかったうちのモチベ高子、北島マヤのようにライバルに心折られてバキィーーン!!とかなってないか心配だったけど、モニター越しに見ると、すっかり忘れてアニメーションにぽかーんと見入っているようだった。
どんまい高子、君はそのままで。
そうして、滞りなくエンディングまで撮影終了。
ブンバボーン体操を元気に踊りきり、降ってくる風船を貪欲に2つゲットして(これは親の手でソッコー空気を抜かされる)満足げに私の待つベンチシートへ戻ってきた。
そして、お兄さん・お姉さんたちをはじめスタッフの皆さんは、スタジオを最後の1人が出るまで、子どもたち全員に手を振って見送ってくれた。
もちろん、カメラは回っていないのに。
いや、カメラが止まった途端に急に
「はい、お疲れっしたー」
ってお兄さん・お姉さんが豹変して
「MAの後、行くっしょ?焼肉?シースー?」
とか、したり顔で言いはじめたらどうしよう?なんて思ってたんだけども。
彼らは決して、そんなことはしなかった。
「ありがとうー!また遊ぼうね!」
優しく声をかけながら、スタジオの扉が閉まるまでずっと笑顔でいてくれた、お兄さん・お姉さん。
収録は終わったけれど、夢は終わらない。
「おかあさんといっしょ」の世界は永遠に続くよ。
君が・・・子どもでいる間はね。キュピーン★(ウインク)
そんなメッセージを受け取った。
そんなこと一言も言われてないけど、勝手に。
ウインクなんかも一切されてないけど、脳が感じた、勝手に。
お兄さん・お姉さん、ありがとう。
おかあさんといっしょのスタッフの皆さん、ありがとう!!
感激して、閉じられたスタジオの扉をいつまでも見つめている不審者こと、私。
ほおっておいてくれたら、そのまま1時間でも扉を見つめていたかったけど(警備員の人につまみ出されるまで)
娘が私の腕を引っぱって、ひとこと。
「ママ、行こう?たのしかったね。また来たい!」
えっと、ごめん。
次はもうないんだわ。(※おかあさんといっしょ、に応募できるのは3歳0ヶ月から12ヶ月までの1度だけ)
そう言ったら、娘のセンチメンタルが加速しちゃいそうなので、口をつぐんでおいた。
だから。今日だけは声高らかに、歌いたい。
きみが鳴らして、ぼくも鳴る
みんなのために ベルが鳴る
ベルを鳴らして、お祝いだ
みんなでいっぱい踊ったら
いっぱいさよなら
また会おう
(頭がおかしくなったんではなく、エンディング曲でお別れです。)
・・・
これを読んでるみなさん。
もし適齢期のお子さんがいたら、ぜひ「おかあさんといっしょ」スタジオ収録に応募してみてください。
そして、残念ながら適齢期を過ぎてしまったみんな、大丈夫!
なぜなら、まだ「おとうさんといっしょ」があるから。
こちらは4歳0ヶ月から12ヶ月まで応募OK。
ここに書いてあることは全く参考にならないかもしれませんが、とにかく何が言いたいかって人見知りでも、恥ずかしがり屋さんでも、心配ないってこと。
こんなに、すばらしい受け入れ体制でどんな子もバッチリ出迎えてくれるから。
「あくまで主役は子ども」そして「おかあさん・おとうさんの心のケア重視」
そんな大切なことを、再確認させてくれた貴重な時間でした。
【おまけ】
よしお兄さんのサンバイザー、売店には売ってませんでした。
おわり。