【おかあさんといっしょスタジオ収録にいったよ④映ってないところがすごい!本番編】
これまでのお話はこちら。
スタジオに到着。
そこには、TVで毎朝見ているスタジオセットと全く同じ世界が広がっている。
同じ、というか、よく見るとめっちゃ広い・・・!
当然かもしれないけれど、TVに映っているステージはほんの一角。
その何倍も広い空間で、スタッフさんたちがにこやかに待ち受けている。
保護者はステージすぐ脇にある、二列になった長いベンチシートで待機。
そこにモニターが設置されており、本番カメラと同じアングルの映像を観ることができるが、もちろん生でも見ることができる。
子どもたちは自然とステージに促されている。
むすめ、ちょっと心細いのかチラチラこちらを見ているが、ベンチシートにいる私の姿を確認したら、ホッとしたようだった。なんとなく前列にポジショニングできるように頑張っておいてよかった。(これはスタッフさん指示なので完全に運だけど。)
さて、スタジオ内をぐるりと見回すと、カメラの映らない後方に大きな家。がある。
これまで見たこともないファンシーなお家。
はて?あれはなんだろう・・・?と不思議に思っていると。
お兄さん
「今から、ガラピコぷ〜のみんな(着ぐるみ3人組)がやってくるよ!その前に、ひとつだけ注意があります。
ガラピコぷ〜の3人組は、みんなが思っているよりも、ちょっと大きいです!だから、びっくりするかもしれないけど、みんなと遊びたくてあのお家で待っているんだよ。」
と、後方のお家を指差した。
なるほど・・・!
そういうことだったのか。
おそらく子どもたちが、本番で(TV映えのために大きな作りの着ぐるみたちを)いきなり見て、怯えて泣いたりしないように、事前の触れ合いタイムがあるのだな?
子どもたちが声を合わせて
「チョロミー、ムームー、ガラピコー!」
と呼ぶと
はーい!
と元気よくお家から出てきたのは、おなじみの3人。
子どもたちのテンションはうなぎのぼり!
言われてみれば確かに大きいけれど(笑)子どもたちは、そんなこと全然気にしない。
みんな、ガラピコたちを取り囲んでネックレスやらふわふわのお腹やらを触ってやろうと、虎視眈々と狙っている。
そうして数分戯れてから、ガラピコ御一行はまたお家に帰っていく(本番まで待機)のだけれど、感激したのは、はける前のほんのひととき。
実は、まだお母さんから離れられずに、保護者席であるベンチシートにいる子たちも何人かいるのだが、その子たちの前にも、惜しみなくガラピコ御一行は来てくれるのだ。
遠くで、羨ましげにステージのガラピコたちを見ていた子たち。
お母さんにしがみついている子も、ガラピコたちが自分の目の前に来た時の目の輝きようったら!
もちろんガラピコ御一行だけでなく、お兄さん・お姉さんも定期的に保護者席の子どもたちの方へやって来て「おいでおいで」したり、手を振ってくれたりするのだ。
そうして、ステージへ引き寄せられて出ていける子も、中にはいたりする。
つい感激して、ベンチーシートに子どもたちに手を振っているガラピコ御一行に向かって、私まで全力で手を振り返してしまったので(いや、お前じゃねえし)と思われたかもしれないが、もはやそんなことは気にしない。
別にカメラに写ってようが写ってまいが、このスタジオ全体がもう「おかあさんといっしょ」なのだ。
このホスピタリティー・・・ここって、もしかしてディズニーランド!?
ウットリ、そんな勘違いをしていたとき
「はい、本番いきまーす」
というスタッフさん同士の声にハッとする。
ただ、子どもたちにそれが告げられることはない。
先ほどからお歌とダンスの練習、と称したリハが行われていたが、これまで通り遊びながら続けられるのだ。
だからカメラが回りだしても、基本、何も変わらない。
子どもたちを緊張させるような変化は何もないし、ベンチシートへの配慮(「ステージへ行ってみようよ♪」というエプロンスタッフさんによる誘い出し)も続けられる。
このエプロンスタッフさんたち、スタジオ内に5〜6名はいるだろうか。
この方達の動きがまた、すごいのだ。
ステージとベンチシートの保護者の間に、エプロンスタッフさんらが数名、並んで座って待機している。
まるで、ぐるりとネットを張るような配置である。
この人間ネットが本番中、急に里心がついてお母さんの元に帰りたくなった子どもを、やんわりと受け止めて
また、ステージへと戻すのである!
名付けて、フレームアウト防止ネット!!
子どもは、一瞬「え?」となるけれど、なんとなく楽しげなステージ方向に向き直ると、やっぱり「うわあ♡」となって、再度ステージの方へリリースされていく。
以前に放送を見ていて、フレームアウトしたな。という子がまたすぐにフレームインしてくるのを、少し不思議に思って見ていたが、これはそういうことだったのだ・・・・!
カメラ機材の方に、子どもが駆けて行ってしまって起こる事故などを防止する意味もあるのだろう。
めっちゃ、よくできている。
さらに本番中。
ベンチシートのお母さんの膝の上で泣いてる子がいて、その子の声がスタジオに響いたタイミングで「カット!」がかかり、撮り直しなのかな?という瞬間があったのだが、そこでもエプロンスタッフさんが大活躍。
泣いてる子を抱いた、恐縮しているお母さんの側に、ササッと忍者のような足取りでエプロンスタッフさんが近づいて来て
「今のカットは、お子さんの声のせいじゃないですよ。お姉さんの髪がマイクに引っかかったから、撮り直しになっただけですよ♪」
と、教えてくれるのだ。
手厚さが、すごい。
手厚さ、心遣い、抜かりない番組進行のためのテクニック、60年の歴史の重み、そんな具が大盛りに盛られた分厚いハンバーガーのような現場なのだ。
モニター越しに娘を見ると、仏頂面ではあるが心の底から楽しみ、笑っているのがよくわかった。
本来は人見知りのはずの娘の、こんなイキイキとした姿を見られるとは、正直思っていなかった。
一所懸命、カメラ目線で見よう見まねのダンスを踊っている。
娘だけではない、3歳児たちの多くがカメラの方を体ごと向いている。
これはなぜか?
カメラ前に「この道ウン十年」といった感じのバンダナ姿の中年女性が、踊りを見せてくれているのだ。
振付家の方なのだろうか。
ステージ上のお兄さん・お姉さんに負けないほどの大きな身振り手振りで、にこやかに踊っている。
そして、どことなくノンタックに似ている。
これは、子どもら見るわあ。これは見ざるを得ないわあ。
そうしているうちに、子どもたちが集合をかけられてステージ中央に集まり、別コーナーの撮影が始まった。
ここで、すでに「パント」の人選が始まっていたこと。を、私たちは後から知ることになるのだった・・・!
次回、やっと最終回です!