ミルクジャポンブログ記事

新アプリをリリースしました!(アンジーに捧ぐ)

2014年7月2日:ミルクジャポンブログ(2012年4月〜2016年9月)掲載からの転用

代表 平野聡子 / satoko hirano

ミルクジャポンブログに約4年間の連載。テーマはお出かけ。

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新しいアプリをリリースしました!

baby rattle bab  babから5年ぶりに。

 

思い返せば、5年前。

1才半の小さいむすこを連れて、1人で新幹線に乗り神戸に帰省した時のこと。

 

まだ子連れ旅に慣れていなかった当時のわたしは、指定席をとっていなかった。

(今ならありえない!授乳もできる多目的室から、いちばん近い12号車の最前列をみどりの窓口でちょっ早de鬼キープ)

自由席でなんとかなるか〜!実質、子ども抱っこだから席ひとつだし。と楽観して新幹線に乗り込んだ。

 

始発の東京駅から乗ればなんとかなったかもしれないけれど、そこは品川。

週末、出張帰りのサラリーマンでごった返す自由席の車内は、殺伐とした椅子取りゲームさながらで、あれよあれよという間に空席は埋まってしまった。

座ると同時にプシュッと缶ビールを開ける音がサラウンドであちらこちらから聞こえる。

その音は、サラリーマン達がイカリをおろして停泊する合図でもあった。

「もう、ここから動きまへんで」と。

 

そんな戦況下で、ベビー抱っこ+大きな荷物でノロノロしている装備不足のわたしに、席を確保できるはずはなかった。

子連れだから譲ってもらえるかも?なんて淡い期待は、東京で育児をしだしてからかなり早い段階で

「期待するべからず、しからば落胆もしない」

というドライな諦観に変わっていた。

 

「まぁ泣いてぐずったら、どうせ座ってられないしな。」

とデッキに出て、自分の荷物の上に座ったり、むすこが泣きだしたら立ってあやしたりしていた。

寝てくれればいいものを、うまく寝付けないのかグズグズしだすむすこ。

抱っこからおろせ、としきりに主張してくる。

おろせば・・・いいじゃない?

おろせば最後、2時間45分の快適な列車の旅は、デストレインと化す。

全車両の端から端までパトロールする、飽くなき探究心を持った1歳半男児の背中を、「すいませんすいません」と言いながら延々と追い続けるという地獄の幕開け。ヒィ、、、お、おそろしい。

 

こういう時の為の、伝家の宝刀アプリ我らがbaby rattle bab babは、残念ながら(それまでSNSを見すぎていて)iPhoneの充電切れで使えない、という我ながら阿呆なオチだった。

 

新幹線が名古屋に到着しても状況は変わらず、サラリーマン達の椅子取り合戦ののち、速やかにメンバーチェンジが行われるのを、デッキからぼんやりと見ていることしかできない。

彼らの目には、子を抱っこした母はどうやら映っていないようだった。

 

ああ、このまま新神戸まで立ちっぱなし決定かあ・・・と思ったそのとき。

目の前の自動ドアが急に開いた。

 

浪速のアンジーの優しさにふれて

そこには、見知らぬおばちゃんが立っていた。

いかにも『大阪のおばちゃん』といった出で立ち。

アンジェリーナ・ジョリーか、というほどの肉厚な唇にさらにオーバーリップ気味に塗ったピンクのルージュが印象的な、おばちゃんだった。

 

「あそこ、あいてんで〜!はよ座り!」

 

おばちゃんはそう言って、座席を指さした。

その一声で一瞬、車内がシーン。となった。

面食らいつつも、その座席の方を見ると、おばちゃんのハンドバッグと手荷物が1つずつ、2つの座席をばっちりキープしているのが見えた。

 

霊長類最速と聞く、大阪のおばちゃんのスピードは向かうところ敵なしだった。

おそらく、名古屋から乗り込んだおばちゃんは、デッキで子を抱え四苦八苦しているわたしの姿を確認し、すごい速さで2席を確保して、またデッキに戻ってきてくれたのだろう。

出張帰りの疲れたサラリーマンはおばちゃんの敵ではなかった。

 

「ありがとうございます・・・!」

おばちゃんはアンジーの口で、ニッと笑った。

ヤバイ、泣いちゃいそうだよ、おばちゃん。

 

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浪速のアンジー

 

それから、何を話したのかはあまり覚えていない。

わたしは座席に座れてホッとした途端に、急に身体が疲れを自覚したのか、ものすごい睡魔に襲われていた。

ただ覚えているのは、むすこがちょっとぐずったりするたびに

「どないしたん?抱っこしたろか?」とか「アメちゃんたべるか?」とか言ってあやしてくれた。

確か、むすこと同じくらいの歳の孫がいる、とかいう話をしていたような気がする。

そうこうしているうちに、新幹線が神戸に到着した。

おばちゃんはもっと先へ行くようだった。

 

何度もお礼を言って、席を立とうとしたとき

「ちょっと待って!ええもん持ってたわ〜、忘れとった!コレ、持って行って」

とハンドバッグから何かを取り出した。

おばちゃんのハンドバッグはドラえもんのポケット。

その時いちばん欲しいものがでてくる、魔法のアイテム。

そんなハンドバッグから出てきたのは・・・

 

ヤクルト5本パック。

 

ホームに降り立ってから、わたしはしばらくその場に立ち尽くしてしまった。

ヤクルト5本を握りしめたまま。

おばちゃんのことは、全然知らないけど、もう会うこともないかもしれないけど、何かすごい大きな存在に守られてる気がした。

子連れでモタモタしているわたしを、おばちゃんは見つけてくれた。

「子どもはたからもん(宝物)やで。ちょっとぐらい泣いても、おばちゃんからしたら、なんや鈴が鳴ってるぐらいにしか感じへんわ!」

アンジー(口だけ)の笑顔が今でも忘れられない。

 

 

あんな風になりたい(笑)。

わたしはその時、アンジーからヤクルト5本という、力強い優しさをもらった。

肯定してもらった気がした。

今度はわたしが、初めての育児で戸惑ってるママ達に、配る番。

ヤクルトを。

 

いやいや、ヤクルトそんなにたくさん配ってどうする私。

 

だから、アプリをリリースしました。

まずは映像をごらんください。こんなアプリです。

 

このマーカーひとつとスマホがあれば、泣きだした赤ちゃんをあやしたり、遊ばせたりできるアプリです。

どんなに狭い場所でも、このマーカーを貼ればそこから音楽が飛び出して、オルゴールメリーが出現します。そこはまるで、赤ちゃんとママだけの小さな小さなプレイスペース。

 

想像してください。

これがたとえば「ベビーフレンドリー」のシンボルマークとなって、電車内や、デパート、公共の場所に貼ってあったら。

初めてその場にベビー連れで来たママは

「この場所にいていいんだ」と感じるんじゃないだろうか。

何か大きなものに、守られているって感じてくれるんじゃないだろうか。

 

「赤ちゃん連れてきてても、迷惑じゃないよ。大丈夫。」というメッセージを送りたい、と思っています。
このアプリを通して。

アプリリリース情報

AR MUSIC「baby sound kiku milk」
とびだす、みえる、さわれる、おんがく。
赤ちゃんごくごくミュージック「きくみるく」
◎ダウンロードはこちらから。
(iTunes Storeが開きます。無料)
◎公式ページはこちら
↑この中にマーカーがあるので、アプリをダウンロード後、こちらのマーカーにかざしてお試しください。
※第1弾はレイエットメーカー、赤ちゃんの城株式会社三越伊勢丹とのコラボバージョンとなります。第1弾アーティストは矢野顕子、細野晴臣など数多くのアーティストを魅了し、CM音楽・映画音楽等で国内外から高い評価を受けているgutevolk(グーテフォルク)さんです!

 

 

※プレスリリース(詳細)もこちらからご覧いただけます。