妊娠・出産・育児日記

今日のキャロットタワー

2008年11月17日:代表ブログ(2007年10月〜2010年10月)掲載からの転用

代表 平野聡子 / satoko hirano

初の妊娠、出産、育児。約4年間の記録。

夕刻、26階へ向かうエレベーターの中で小学2.3年生とおぼしき男子と遭遇。
最近人を見ると手を差し出すようになってきたレンと握手したり話しかけたりしてくれるので、ほほえましく見つめていると少年、とつぜん語り出した。

「僕のママが展望台レストランで働いているから迎えにいくんです。もうすぐお仕事がおわるんだよ。あそこのランチメニュー、最近全然変わってないしビールフェアもいまいちだと思うんだよね。」

「へー・・・え。よく知ってるね。」

「だってママから毎日聞いてますもん。ママはボジョレーヌーボー解禁日までの日めくりカレンダーをめくる係なんだよ。」

小学生の口から「ビールフェアいまいち」「ボジョレーヌーボー解禁」などという言葉を聞くとは思いもしなかったからしばし驚いた。
だってどう見ても7~8歳だ。
わたしがそんな解禁日があると知ったのは20代になってからだ。
都会の子はこんなもの?すごいな~~~と感心していると展望台に着いた。
そこで別れてレンを遊ばせていると、ママと待ち合わせしているさっきの少年の姿が遠目に見えたので、それとなく観察。
やってきた仕事終わりのママは束ねた髪が乱れてちょっぴり疲れた感じを匂わせるがかなり若い。20代半ばくらいかな?
 
と、しばらくすると怒鳴り声が聞こえてきた。
何だかしらないけど少年、ママにこっぴどく怒られている。
遠目とはいえあんまり見るのも悪いので目をそらしてレンのヨチヨチ歩きの練習に精を出していても、怒声の断片が耳に飛び込んできて気になる。
ちらりと見ると、少年は先ほどの自信満々な表情はカケラもなく今にも泣き出しそうにうなだれている。
ちいさくて細い背中が余計にちっちゃく見える。
原因は何だかわからないけど、さっきまでママの仕事の自慢をしていた彼が数秒後にそのママ自身から怒られているのがほとほとかわいそうで、見てられない。
 
いろいろあるのだろう。人前で怒らねばならぬ理由もあるのだろう。
家族にはそれぞれ方針があるので余計な口出しは無用だがさっきエレベーターの中で聞いた「ママはボジョレーヌーボー解禁日までの・・・」と言った時の赤いほっぺの得意顔が忘れられずに胸が痛んだ。

解禁日まであと3日だそうです。