ウンポコさん両親、お兄さん夫婦、妹のミッちゃんと熱海に行く。
熱海!もはや説明不要の超ド級☆メジャーな一大保養地である。
一時期は閑古鳥だったそうだけど、近年の原油高騰により鉄道交通の便の良いこの温泉地に、離れた客足が都心から郡をなして戻ってきているとニュースで聞いた。
「ほんと~?」
正直、ちょっと疑っていた。「閑古鳥の鳴く熱海」というのもそれはそれでええじゃないか!と地元の観光協会の悲壮な困惑をよそに呑気に思っていたし何となく「人がワーッ!と押し寄せる熱海」というものをうまく想像できなくなっていたから。
ところが!!
その復活ぶりはニュース以上だった。
中心街にあふれる観光客の勢いは夜になっても衰えないどころか増える一方、若者が浴衣姿で熱海銀座をじゃれ合いながら行き交い、番頭さんや女将は本館と別館の間を激しく走り回り、遊技場の古いガラス戸は吐息で曇り、ピンクのネオンが怪しく光る地下劇場内の歓声は地上にまで響きわたり、X-JAPANのトシがやって来てライブをし、海岸線には「復活!熱海」と書かれたのぼりが誇らし気にズラリと掲げられて海風にたなびき、アタナリエと銘打ったイルミネーションまみれの巨大ツリーがドーンと天高くそそり立ち、花火がバババン!と派手に打ちあがって観光客の火照った頬をさらに赤く照らし出していたのだった。コレ本当。
たまたま連休初日に訪れたせいもあるだろうけど、とにかく賑やかな熱海の晴れ姿を目の当たりにして「姥桜の狂い咲き」という言葉を思い出しながらも「最盛期の熱海はこんな感じだったのか!」と散歩しつつ、ゆっくり眺めながら歩いて大いに楽しんだ。
「露天風呂から花火が見えますよ」
と聞いて、楽しみに待っていたらなるほど確かに目の前に見えた。
見えたけれども、露天の垣根からひょいと顔を出すとあまりに沢山の人が花火待ちをしていて、まるで渋谷のセンター街の真ん中でうっかりお風呂に入ってしまった、みたいな感じだったので慌てて顔をひっこめた。
レンは案の定、花火の爆音でおどろいてワンワンと裸で泣いていた。