妊娠・出産・育児日記

都会生活と猫おばさん

2008年1月22日:代表ブログ(2007年10月〜2010年10月)掲載からの転用

代表 平野聡子 / satoko hirano

初の妊娠、出産、育児。約4年間の記録。

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すこしずーつ、すこしずーつ慣れてきた。

まずは半径300メートルくらいまでの近所を自在に動きまわれるようになった。進歩!最近よく思うんだけど、初めてのこどものいる生活って初めての異国生活のようだ。常にこころもとなくて自分がいるこの街は知らない事ばかりのような気がする。
そして知らないひとにばかり話しかけられる。
 
本屋でブラブラしていたら50代ぐらいのおばさんが寄ってきた。
「あら赤ちゃん!赤ちゃんよ~」
こういう人はよくいる。わたしはいつもの如くおばさんの方はろくに見ないではにかみつつ、通り過ぎようとしたら
「ほら見てごらん!かわいいわね~赤ちゃんよー!トム!」
「ニャーン」
 
・・・トム?誰か連れでもいるのかしら?・・・ニャーン?
ふと顔をあげてまともにおばさんを見ようとしたらばっちり、白に茶色いブチのでっかい猫と目があった。
「ニャーン」
びっくりした。おばさんは胸元にでっかい猫をいれてパンパンに膨れた上着を着ており、その襟元から猫の顔がにょきっと出ている。おばさんの顔と猫の顔が上下にふたつ、並んでこちらを見ているのだ。その猫がまた凄い存在感で、おばさんより猫のほうが本体に見える。
「こんにちわ」
思わず挨拶してしまった。猫に。
広い本屋でおばさんと猫とわたしと赤子が向き合った妙な瞬間。
 
その後も猫おばさん、いやむしろおばさん猫はあれこれと猫に大声で語りかけ、その度に猫が「ニャーン」と答えながら本屋中をグルグルと徘徊していた。
東京はいろんなひとがいます。