ミルクジャポンブログ記事

てのひらに、キャンディひとつ。後編

2012年4月24日:ミルクジャポンブログ(2012年4月〜2016年9月)掲載からの転用

代表 平野聡子 / satoko hirano

ミルクジャポンブログに約4年間の連載。テーマはお出かけ。

candy.jp

 

前回のお話はコチラ。

 

汗とか涙とか、もう分からなくなるほどに

つめた〜い汗がわたしの背中を流れ落ちようとしたまさにその時。

ステージで朗読していたパフォーマーの女性がひとり、こちらに気がついた。

7、8名いるパフォーマーの方々は常にマイクが設置されているいくつかのポイントをローテーションで回りながら朗読する、というスタイルだったんだけど女性はあきらかにその朗読エリアを離れてわたしたちが座っている観客席に近付いてきた。

にわか郵便屋とそれを小声で注意してたわたしの声がうるさかったのだろうか。

女性はむすこを見つめながら、まっすぐこちらに向かってくる。もう目の前だ。

 

お、怒られる・・・?

 

むすこを抱えて思わずうつむくわたし。

 

女性はすっとこちらに手をさしだして、パッと手をひらいた。

 

 

その手のひらの中にあったのはぶどうのキャンディひとつ。

パフォーマーの女性はわたしたちを叱りに来たのではなく、むすこにキャンディを渡しにきてくれたのです。公演中にもかかわらず!

怒られるとばかり思っていたわたしは、そのキャンディをみて不意に目頭がぶわっと熱くなってしまった。

 

「…ありがとうございます」

 

そして女性はにこっと笑って踵を返し、またステージに戻って何もなかったかのように朗読をはじめたのだ。

 

胸熱・・・ !!

 

垣根を越えて

おかげでむすこは、キャンディひとつで郵便屋さんをあっさり辞職(!)。

見事に機嫌を直してさいごまでゆっくり鑑賞することができました。

本当に助かったし、このような粋な形で助けていただいたことが何より嬉しくて終わったあと再度その女性にお礼を言いにいきました。

 

わたしもこういうさりげない優しさを発揮できる人になりたいなあ。。。

立場が違ったとしても、困ってるひとがいたらすぐに行動できる人になりたい。

あの女性が演者と観客、という垣根をひらりと超えて来てくれたように。

 

もちろんこれらを自然にすべて内包している「タイム」という作品が素晴らしかったのはいうまでもありません。

このような記憶にのこるスペシャルな出来事が、この国立新美術館ではよく起こる気がするのです。

(そういえば、むすこが0歳の時1Fのカフェで吐いちゃったら、カフェの店員さんが目にも止まらぬものすごい早さで駆けつけて親切にしてくれたこともあったっけ…いつもご迷惑おかけしてスイマセン)

ポカポカの春の陽気のなか、ぶらりおでかけになってみてはいかがでしょうか。

 

おまけ

B1Fのミュージアムショップスーベニアフロムトーキョーが品揃え最高で、また楽しいのです。外国からのお客様や赤ちゃんだってきっと楽しめます!絵本もあるし。赤ちゃん連れならB1Fショップ横の広いカフェ「カフェテリア・カレ」で休憩が、ゆっくりできてオススメです。

 

ベビー情報

・ベビーカー5台貸し出しあり
・B1Fに授乳室あり
・各階の多目的トイレにおむつ替えシートあり
託児サービスあり!(要予約)