おそるべきこども

3才女子、鼻の穴事件の記録。

2017年6月12日

代表 平野聡子 / satoko hirano

こどもから学ぶ日々ブログ

3才女子、鼻の穴事件の記録。

 

私が夕食の支度をしている間、子どもらは各々、TVを観たり、おもちゃで遊んだり、それぞれの土曜日の夕方をリラックスして楽しんでいた。
そんなどこにでもあるような、なんてことない時間。
しかし、そんな穏やかな時間にこそ、悲劇は訪れる。

つい先ほどまでソファの上でご機嫌だったムスメが、キッチンの私の方を振り返って、悲壮な顔で言ったのだ。

 

「ママ・・・はいしゃさんのけしゴムが、はなに入っちゃった。」

 

!?・・・ムスメが自らの鼻の穴を指差し、そう言ったのを聞いて私は、嫌な予感で背筋が寒くなった。

娘の小さな鼻の穴の奥を見ると、確かに消しゴムのカケラがぴったりとジャストサイズで詰まっているのが見える。

 

それは、まさに歯医者さんで治療のごほうびにもらった、歯のカタチのカラフルな消しゴム。

 

あの時、治療がんばったもんね〜、なんて言ってもらってしまった自分が呪わしい。。。
焦ってとろうとしたのか、それは相当奥にあり、とても指が届く距離ではない。

 

「ああああああ、どうしよう。」

 

思わずそう口走ってしまった。
つい先日、友達の息子くんが鼻におもちゃを詰めちゃって、夜中近くだったのでえらく遠くの救急外来を受診して大変だった…
みたいな話を聞いたばかりだったからだ。

 

そんな私の表情を見て悟ったのか、もしやコレって結構ヤバイこと…!?と不安になったムスメが、シクシクと泣き出した。

 

「あー。いやいや、大丈夫だから。ママがすぐとるから。」

 

冷静を装って付け焼き刃な慰めの言葉をかけるも、どうしていいか、正直じぇんじぇんわからない。
なんだか知んないけど、感情移入したのか息子までもが

 

「サラちゃん!一体どうすれば・・・」

 

と、泣き崩れている。
本人が引くほど泣きじゃくる兄を見て、さらに青ざめるムスメ。

 

そんな地獄絵図の中、あたふたとiPhoneで調べるも「ぶたっ鼻をすると取れるよ」みたいなおもしろアイデアしかヒットしない。

そ、そうだ、なんか尖ったもの…?爪楊枝で刺してとるか!
魚をモリで突くみたいに!とアホみたい、かつプリミティブな思いつきを採用しようとした、その時だった。

 

「ウニ買ってきたどー!!」

 

帰ってきた。能天気なオットがニッコニコで。
そういえば、スーパーに500円のお買い得ウニを買いに行ってもらっていたのを、すっかり忘れていた。

 

「それどころじゃないんだよ!!!」

 

そう泣きながら発したのは、ウニに乱舞するはずだった、息子。

あの食いしん坊が泣きじゃくる事態に、ただならぬ雰囲気を感じたか、オットの顔からも笑顔が消えた。

すぐに、緊急オペがはじまった。
と言っても、爪楊枝なんかダメ、絶対!むしろピンセットで取ってみよう。という簡単なオペだけど。

 

執刀医オット(ピンセット)、助手わたし(暴れる患者の体を押さえる)、看護師息子(iPhoneの照明で患部を照らす)というチームがひとつにならないと、今回のヤマは乗り越えられない。

 

しかし、突然の家族の変貌、というか今まで見せたことないぐらい真剣な顔つきにびびったムスメは、これでもかと暴れて抵抗する。まぁ今思えば、当たり前かもしれない。だって怖いもん。

 

獲れたての新鮮な魚か?というほどに暴れるムスメを、わたしが押さえつけ、泣きじゃくる照明役に照らされた患部は、当然ながら全く安定せず、思うようにピンセットの狙いが定まらない。

 

「つかんだ!」

 

と執刀医が叫んで、全員ワー!となるも、すぐに
「ダメだすべったー!・・・鼻水で。」

 

という声にガクッとなる、みたいなコントのようなやり取りの繰り返し。
551ある時ない時を早送りでやらされて、全員大汗。
オペは想像以上に難航した。

いいかげんにしてよ!とでも言いたげにムスメがフン!と鼻息を漏らした時だった。
鼻の奥の消しゴムが、動いた!
鼻息に押されて、入り口に少し近付いたのだった。

そこからは
「いいよ!今のフン!すごく良かった!」

 

と、家族全員で褒めちぎるという作戦にチェンジ。
「フン!フン!フン!」

 

というムスメの追い風のおかげで、消しゴムは順調に入り口に近付いてくる。

フン!フン!フン!

 

「あ、見えてきたよ!頑張れ!!」
「サラちゃん、もう少し!がんばって!」

フン!フン!フン!フン!フン!

「見えてきた、見えてきた、あと1回フン!」

 

・・・出産なの?
ねぇ、これ出産なの?消しゴムのカス子が生まれるの?
と、朦朧とする頭の中にギモンが渦巻いた時だった。

 

「出たーーーー!!」
「やったーーーーーーー!!!!!」

 

その瞬間、家族がひとつになりました。
泣いて喜び、抱き合う子どもたち。

オットは汗をぬぐいながら
「最後はやはり、患者の生きる。って気持ちを最優先にしました。」
みたいな、ヒーローインタビュー的なコメントまで述べている。

ムスメの鼻の穴から、ちっさい消しゴム出てきただけなのに。

 

【教訓】
・とにかく冷静になろう。
・鼻の穴になんか詰まった時は爪楊枝は絶対ダメ。
・鼻息のちからってすごい。
・患者の生きる。という気持ちを最優先に。

 

※危険なのでマネしないでください。
#おそるべきこども #鼻の穴 #こどもの事故防止

ある耳鼻科では、子どもが鼻の穴にいれてしまった、色とりどりのオモチャがショーケースに入って展示されてるらしいバブよ。

鼻の穴、奥深し!