全5回のコンテンポラリーダンスのワークショップへ行ってきた。
このチラシを街で偶然目にして、やりたいな。と思ったきっかけは
「子育て中のママ対象で子連れOK」だったという事とこういう対象には珍しい「コンテポラリーダンス」というジャンルだったからだ。
ある種、独特な動きをするこのダンスに関してはほんの僅かに経験があったし(と言っても10年前)W.フォーサイスとかピナ・バウシュとか観る方も好きだったので、これいい機会とばかりに応募した。
しかし涼しい顔をしているようで実は内心、羞恥心との壮絶な闘いだった。
たいそうブランクがあるわたしにとって「人前で踊る」なんてことは気を失いそうになるほど恥ずかしいことになってしまっていたのだ。周りの方は同年代のママ達であったが、みなさんそれぞれ長年に渡るバレエやヒップホップの経験者で一旦踊り出すとそれはそれは滑らかで、うっとりしてしまう程だった。
も ちろん子連れの人が多いので、踊りながらずっと抱っこされている3ヶ月の赤ちゃんや、始終ママにしがみついている子(レンもそのタイプ)、一緒に踊った り、突然おしっこをフロアにドシャーと漏らしたりする子がいたりと、なかなかプリミティブかつ自由な空気だったのでそれほど肩に力が入らずにリラックスで きたように思う。
しかし最終日の今日は「ミニ発表会」で、しかも即興ソロダンスと聞いてこれまたドえらい事になってしまった!とおののいた。
先 日からわたしは首の筋を痛めてしまい、右半身はロボットダンスみたいな動きしかできないのも躊躇の原因ではあるが、何より、今まではみんなで踊っていたか ら何とかなったものの、30人弱とはいえ人前で「ひとり」で踊るなんて。どーなるの!?わたしっ・・・とビビっていたらトップバッターになってしまった。
子連れの人はこどもと一緒に踊ってもいいのだが、ただでさえ人見知りなレンが沢山の人前で気の利いた即興ダンスを繰り広げられるわけはなく、しがみつかれて泣かれて終わるか。それでもわたしは踊り続けなければならないか。
などとアレコレ考えているうちに音楽がスタートした。
ノープランでステージの中央に立ち尽くし、レンと見つめ合った瞬間にわたしはあることに気が付いてしまった。
レンの鼻からとっても大きいハナクソがこんにちわしていたのだ。
「ああ!」わたしは心の中で叫んだ。
「遠くからでもぎりぎり肉眼でみえるサイズだわ」と。
そして極めて自然に、流れるような動きを意識しつつレンの顔まわりに手をヒラヒラとさせながらハンターのような正確な手さばきでスッとハナクソを捕まえる事に成功した。「やった!」
誰もまさかハナクソを取ったとは思うまい。当のレンもキョトンとしている。
歓喜したのも束の間、さてこのハナクソさんをどうしよう?
ポケットもないし、何より今は発表会の真っ最中なのだ。
60個の目がわたしの一挙手一投足をじっと見守っている。
さり気なく服になすりつけるなど、もってのほかだ。
結局わたしは行き場のないそれを指につまんだまま、最後までやり遂げた。
自然、手の形はずっと「OK」のジェスチャーみたいになっている。
しかしながら右半身はロボットダンスだ。何がOKなものか。
地獄のように長い3分間だった。
しかし終わった後、拍手がわき起こった。
みんなはあのハナクソをつまんだままの「OK」の手とロボットダンスをどう思ったのだろうか。
なかなか刺激的な体験だった。
人前で喋ったり、何かやるのが苦手。という人はまずダンスに挑戦するといいかもしれない。自分のボーダーラインがよくわかる。
そして続ければ、それをひょいと越える方法も自然と身に付くんじゃないだろうか。
次は子連れアフリカンダンスをやろうと思っています。
あるお母さんの踊り。(これはソロじゃなくて群舞)