世田谷公園のミニSLの存在は知っていたが実際、乗ったことはなかった。
えー、SL?しかもミニ?こども騙しでしょ?
みたいな感じでちょっと斜に構えていたのである。つまらぬことだが乗りたい気持ちを偽り、大人ぶっていたのである。
それがこの度、レンの電車(乗り物全般)好きをまたとない好機と受け止めこの乗車チャンスを逃してなるものかと意気揚々、鼻息も荒く世田谷公園へ向かったのだった。
行ってみると日曜だからか?親子連ればかりで意外と混んでいる。乗車券売り場には長々と行列さえ出来ていておどろいた。どの子もみな、ミニSLへの期待で頬をぴかぴかとさせている。
チケットは大人70円、小学生30円、小学生以下は無料。
なんだこの価格設定は!昭和か!
と余りの安さにおののいたが、大人なので平静を装って切符を購入。
昔なつかしい切符切りでパチンと穴をあけてもらっていざ出発である。全員がSLに乗り込み、ポッポー!と高らかに本格的な汽笛が鳴ると「いってらしゃーい!!」とスタッフの人が手を振って見送ってくれる。
なんか興奮してきた。興奮してきたよ。
ロマンあふれるSL旅の予感だ。「ミニ」という概念すら忘れそうだ。ねえSLさん、一体わたし達をどこへ連れて行ってくれるというの?
・・・
世田谷公園内を軽く小回りで一周するだけだというのにすでにわたしはいい旅夢気分だ。さぞレンも喜んで・・・と隣のレンを見るとなんか恥ずかしがっていた。
最近にわかに人見知りが始まって、知らない人が側にいたり話しかけてきたりすると顔をサッと伏せてしまうのだった。確かにこのミニSLは満員御礼でぎゅうぎゅうのスシ詰め状態ではあるがそんな事で恥ずかしがってるバアイじゃないわよ!君が今、乗ってるのはYouTubeやDVDであれほど熱心に何度も観たSLなのだ。
まぁちょっと違うけど。ミニだけど。
なぜか意気揚々としている大人と恥ずかしがっているこどもを乗せてSLはグングンとスピードを上げて行く。加速すると意外にスピードが出て顔にあたる風が気持ちよい。レンもやっと人見知りが解けて、ぽかんと走り去る風景を眺めている。
その目はキラキラしていた。
ああ、乗ってよかったと思った。
まぁ一番楽しんだのはわたしの方だったようだけれど。
意外に結構なスピード感が魅力です。(注:この写真ほどではありません)
憧れのSLに乗るこども。(接写過ぎてよくわからないのは席が狭いせい)瞳も鼻水もきらきらひかる。本物のSL写真はコチラ。