受験はしない、でもその先は?
ちょうど1年前のこと。
わたしは、小5になる息子の塾選びで悩んでいた。
といっても、受験のための塾探しではない。
中学受験率30〜40%ともいわれてるエリアに住んでいる、私たち親子にとって「受験しない」という選択は、すこし勇気のいることでもあった。
でも、世の中には中受に向いている子・そうでない子。というのが存在する。というのは、まわりを見渡して、早い時期から感じていた。そりゃもう痛いほどに。
小さい頃から「プーさんに似てる」という異名をほしいままにしてきた、マイペース息子が中学受験に向いているかどうか?を冷静に考えてみたところ・・・
「うん。控えめに言っても全然、MU・I・TE・NA・I★」
というか、そんな彼を受験に向かわせることで、わたしがストレス感じて10歳ほどドッと老けこみそう。
というわけで、
①歴史オタク
②友達すくなめ
③個性的
という3K(3つの強力な要素)を持つ彼の、個性をさらに伸ばしてみよう!という、逆のベクトルに振り切った塾探し(居場所探し、いや、しあわせ探し?)が始まったのだった。
あるワードに引っかかる
いわゆる学習塾。はすべて候補から外し、なるべく「自由な校風」「特徴がある」「夫とわたし自身が行ってみたいと思えるアツいところ」(自分が行きたくない場所に、息子を通わせるのはおかしいから)を探した。
最初は寺子屋的な、個人が運営している塾をかたっぱしからググったり、人に話を聞いたりしていった。
ちょっといいな、と思うところは少し遠かったり、アクセスが悪かったり。
1つ、気になったところは「松下村塾學び館」。
「まさか、現在も幕末の志士たちのような熱い志を持った人たちが集って・・・!?」とワクワクして松陰神社を訪ねたところ、そこは無料の吉田松陰資料館だった。(※有志の学びサークルはあるようです)
ふつうに息子と幕末カレンダーを買って、ホクホクして帰った。
いや待て待て、ここじゃない。
次に気になったのは「探究」というキーワードだった。
探究、という名がつく塾が、いくつかあるみたい。
調べていくと、2022年度から新しく導入される高等学校学習指導要領の中で「探究」という名がつく科目が一気に新設される、とのこと。
(探究とは何か?はこちらがわかりやすいかな)
それもあり【探究】が教育界隈では、ホットワードとなっているようだ。
簡単にいうと探究とは、問題解決型の学習のこと。
広くいえば、いわゆるアクティブ・ラーニングといわれているものらしい。
呼吸しやすい場所をさがして
息子は、決して勉強が嫌いなわけじゃない。
何時間でも読書するし、ハマると徹底的に調べ倒す性分なので「学ぶこと」自体は、かなり好きな方なんじゃないかと思う。
でも普段、学校で行われているような先生→子どもの一方通行型の受け身の授業。になると、途端に集中力が切れてフワ〜としてしまう。
きっと、頭の中では弥生時代(当時、息子が一番好きだった時代)にトリップして、「卑弥呼様ー!」と叫んでいる。竪穴式住居の真ん中で。
よって、リアル授業内では消極的で、発言なんてもってのほかなのだ。
だから学校では、彼の「学ぶことは好き」という本来のところは全く評価されない。むしろ、落ちこぼれの類。
学校公開などで息子の様子を見ていると、肺呼吸の生き物をまちがって、水の中に入れてしまったみたいに感じることが、何度かあった。
水槽の隅でジーーッとして、口をパクパクしたまま動かない生き物。
集団行動から逃げ出したり、はみ出るわけではないけれど、どこかボケーっとうわの空。
頭の中では、常に「ここではない、もっとおもしろい世界」へ出かけているような気がする。
本人は諦めたように何も言わない。
だけど時折、見てるこちらが、くるしくなるのだった。
探究学習は、息子に向いてるかも。。
直感的に、そう思った。
さいごに行き着いた場所
「で、どこがいいんだろう?」
わからないので、とりあえず【探究】と名のつく塾の体験に息子と片っ端から行ってみることにした。
結論から言うと、どこもピタッとくるところはなかった。
広い教室に、面白そうな本や漫画がズラーっと並んだきれいな空間や、シュミレーションゲームのようなカリキュラム、やる気のある若い先生たちは魅力的だったけれど、当の息子に感想を聞くと
「まぁ、おもしろかったけど。べつにいいかなっ」
という、びっくりするほど冴えないコメントが返ってきた。
(・・・まだ一番の老舗には行ってないし、そこを体験してから、最後は息子に決めさせればいいか。このままだと、どこにも通わない。という選択肢もあるかもな。)
そんな思いが、私の中ではくすぶっていた。
そして、最後に行き着いたところが探究学舎だったのである。
まず、家から三鷹までが遠い。超遠い。
ドアtoドアで1時間ちょっと。
「こりゃあちょっと、通えないかもなー。」
そんな弱気な気分で探究学舎のドアを開けた私は、びっくりした。
今まで体験で行った「塾」とは違いすぎる。色々。
何が違うって、まず「空気」が違う。
息子も驚いて、かたまっている・・・かと思いきや、いきなり最前列の前のテーブルに座った。