おそるべきこども

4才男子、6才男子の迷子に遭遇する。

2017年6月2日

代表 平野聡子 / satoko hirano

こどもから学ぶ日々ブログ

4才男子と6才男子のこと。
むすこを自転車の後ろに乗せて、日が少し傾き始めた団地の一角を通り過ぎようとしたとき。

小学校低学年ぐらいの男の子がひとり、ぽつんと立っているのに気が付いた。
体格は大きくて一見しっかりしてそうだけど、幼い表情からまだ1〜2年生かなという感じ。
太いまゆげと一文字に結んだ口元が、強そうな意志を覗かせている。
(あ、このタイプはむすこと似てるw)
そう思って、微笑ましく見ていると目があった。

 

「あの…○○は、どうやっていけばいいですか」

 

もじもじしながら、その男の子は話しかけてきた。
その○○という地名は、今いる場所から子どもの足だとずいぶん遠い。

 

「○○かぁ。ちょっと遠いね。ひとり?どうやって来たの?」

 

そう聞くと、男の子はうつむいて
「友達の家にいこうと思ってきたんですけど、その友達、引っ越しちゃってて。そのこと知らなかったから。そしたら帰り道がわからなくなって…」

 

迷子だ。

さぁどうする。

 

「お母さんの携帯番号、わかる?」

「番号はわからないけど、携帯みたらわかる。」

 

よかった!私のiPhoneを渡すと、すらすらと数字をうちだした。
(ああ、数字列で覚えてるんだー!私も小さい頃そうだったな…)

 

だけど、出ない。
知らない番号だからだろうか。
男の子、あきらめずに何度かかけるが、何度やっても留守電になってしまう。
私がかけても同じだったので、仕方なしに留守電にいれる。
息子さんが、道に迷っていること。
今いる場所のこと。
留守電を聞いたら、すぐに電話をかけてほしいこと。

通じないとどうしようもないので、幸い近くにあった一番目印になりそうな大きな公園まで一緒に行くことにする。

 

男の子をチラッと横目でみると、強気そうだった表情がどんどん曇ってきている。

 

むすこもこの時ばかりは空気を読んだのか、いつも言う

「おなかすいた」「はやくかえろうよ」

とは言わずに、神妙な顔をしているのがちょっとおもしろい。

 

公園に着いて、シロツメ草の中から四葉のクローバー探そう!

とか言って気を紛らわせたりしつつ(このまま電話来なかったらどうしようかな)と、考えだした頃。

やっと、男の子のお母さんから着信が!!

お母さん、ものすごく恐縮しながら「すぐ迎えにいきます」と言ってくれた。
男の子に電話をかわると、今までのポーカーフェイスがぐしゃっと崩れて

 

「おかあさん…むかえにきて…」

 

と、ぽろぽろと涙をこぼした。

 

「…ごめんなさい。はやくきて」

 

ああ。なんか怒られちゃってるし。

こっちまで泣きそうだよ。
不安だったんだよ。
一文字に結んだ口元は強い意志じゃなくて、泣くのをずっと我慢してたんだな…

しばらくして迎えにきたお母さんと、男の子は無事に再会!
何度もお礼を言って帰っていった。

 

「おかあさんにあえて、よかったねぇ」

 

それまで黙っていたむすこが、その後ろ姿につぶやいていた。

むすこと2才しか変わらないその男の子は、お母さんの声を聞いたとたん、安心して泣いちゃうぐらいに幼い。

 

でも、小学生になった途端どんどん1人で遊びにいったり、時には思いつきで隣町まで冒険しにいったりするようになるんだ。
今は昔と違って、子どもが1人で不安そうにしていても、声をかける大人は少ない。
私だって、向こうから話しかけてこられなかったら、そのまま通り過ぎたかもしれない。
あの子が、話しかけてくれてよかった。

数字列でも、ちゃんとお母さんの携帯番号を覚えてて本当によかった。

 

こういう時のために、むすこにも私の携帯番号だけは暗記させるようにしよう!と
胸に誓った。
さっそくリピートアフターミー、と覚えさせようとすると

 

「ぜろ…きゅう?ぜろ…いち?また、ぜろ?なんだっけ?」

 

ダメだこりゃ。マイゴフダ付けるか。

 

#おそるべきこども
#育児