レンを保育園へ送って行き、いつもの商店街を歩いて帰る途中寂れたビルの1Fの店舗(お好み焼き屋さんと思われる)が閉店しており錆びたシャッターの上にこんな張り紙が貼ってあるのを見つけた。
珍しくない光景だけど、なんだか妙に惹き付けられた。
「昭和59年からこの地で営業しておりましたが、このビルのオーナーから立ち退きを迫られ、建物の老朽化、時代の流れには逆らえず無念ながらついにお客様とお別れすることにいたしました。永らくの間、ありがとうございました。」
な、なんと行間にストーリーがいろいろにじみ出た文章か!
この建物の前を通り過ぎたのは時間にすると2秒くらいなんだけどこの文章を読むあいだ、開店させたばかりの若々しい夫婦が真新しい看板を掲げるシーンから始まって、繁盛期の慌ただしいが充実した毎日、常連さんとのいつもの会話、積み上げられた伝票、油まみれの鉄板、疲れたオヤジの背中、夫婦の確執、新しくできた店にお客を取られる、遠のく客足、口数が減っていくオヤジ、立ち退きを執拗に迫るオーナー、押し寄せる寒波のような不況、上の階のスナックの店主がついに閉店して姿を消す、シケモクを吸い終え閉店の決意をするオヤジ、常連さんたちの手作りお別れ会、すっかり年をとった面々、最後にハメを外すオヤジ、誰もいなくなったカウンターでひとり酔いつぶれるオヤジにおつかれさま、とつぶやく若かった妻の白髪頭・・・・・・・・・エトセトラ、エトセトラ
などなどが、バババババババッ・・・!
と脳裏に浮かんで「え?なにコレ超能力?」と思いました。
が、すぐにこれはベタな妄想だと気付きさっさと通り過ぎた。
「立ち退きを迫られ」「時代の流れ」「お客様とお別れすることに」などのキーワードがこれらの妄想をひきおこしたのだと思われます。
なんだか知らないけど、おつかれさまでした。