レンが週イチで通っている保育園の夏祭りに参加する。
このお祭りは地元の阿波踊りと同じ日に催され、園児たちも(4.5歳児のみ)一緒に踊るという。
保育園の名前を冠した「こぐまちゃん(仮)連」という名の下に商店街を練り歩くと聞いて、レンはまだ参加できないけれど幼な子たちが揃いの着物を着て阿波踊りを踊るなんてさぞかし可愛かろう!とたのしみにしていた。
保育園内のイベントが終わって、いよいよ阿波踊りの時間になった。
と、急遽あやしくなってきた空模様を心配しながらこぐまちゃん連を商店街で待つこと数十分。。。
その間にもエネルギッシュな若手の阿波踊り連が続々とやってくる。
見とれていると技巧が光る壮年層や「○○病院リハビリ連」とかいう危なっかしい名前の連が(踊りは見応えがあったけど・・ていうかリハビリなのか)やってきたりして退屈しない。
しばらくすると、先ほどまで脈打つように早かったリズムが突如ドン、ドン、ドン!とスローテンポになって甲高いこどものかけ声が聞こえて来た。同時にぽつぽつと小雨が降り出した。
ああ、ついに来たか・・・待ってました、こぐまちゃん連!
と愛らしい着物姿を探して目を凝らすもなかなかその姿は見えてこない。
あれれ?スローモーションかと思う程ゆっくりゆっくりとこちらへやってくる踊りの群れが妙に大きい。大群だ。近付くにつれて「こ、これは!」と仰天した。
踊るこどもの親たちがびっしりと周囲を固めていて、肝心のこどもの姿が見えないのだ。こどもひとりにつき、両親ふたり。ないしは祖父母などが付き人のようにガードしている。
なかには親戚縁者を集めたんではないかという団体さんもいる。
そして各々ステージママのように、踊るこどもに傘をさしかけたり飲み物を差し入れたり(フルマラソンか)ビデオカメラを回したりと忙しく立ち回っている。そのせいでこぐまちゃん連がもの凄い人数に膨れ上がっていたのだった。どおりでペースが遅いはずだ。
親たちのスキマにわずかに見えた、フワフワと踊るこども達の姿はそりゃまあ可愛らしいが数人、あきらかに飽きて抜け殻のような顔でぼうっと歩いている子もいる(夕飯のハンバーグのことでも考えているのだろう)。そのすべてを測道から見守りつつ「これじゃ、こぐまちゃん連じゃなくて親バカ連じゃん!」わたし達はおおいに笑った。
笑いながら、レンがいつか阿波踊りに参加した暁には5メートル置きに給水所を設置、バナナや酸素缶を用意したうえに大名行列よろしく一緒に練り歩き、ゴールではくす玉でも割ってやろうかなどと考えているわたしであった。