妊娠・出産・育児日記

ライフ・アフター・出産

2007年11月16日:代表ブログ(2007年10月〜2010年10月)掲載からの転用

代表 平野聡子 / satoko hirano

初の妊娠、出産、育児。約4年間の記録。

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その後のことはもう、流れるが如しでした。

きれいに洗われた素っ裸の赤ん坊が横たわるわたしの胸に渡されて赤ん坊は誰にも教わってないのにオチチに吸い付いた。そのグングンとした吸引力といったら!赤ん坊って弱い、脆弱な存在だと思っていたのに頑丈で力強いものなんだなぁ。と実感する。
そうこうしているうちに夫・ウンポコさんとカメラマン・Uちゃんが朝イチの飛行機で到着。彼らがそこで最初に目にしたものは、魂とか人間の尊厳とかなんか大事なものまで赤子と一緒に出産してしまったんじゃなかろうかと思われる抜け殻のような顔をしたわたしと、そこにグングンと力強く吸い付くエネルギーの権化のような赤ん坊の姿であった。
 
あとでこの時のビデオを見返すと、そんなあられもない姿でポツリポツリと出産の感想を述べているわたしの口調が、非常にスローなのですがなんだか微妙に試合後の亀田興毅っぽいしゃべり方なのが気になった。
あんまり好きじゃないんだけどなぁ、なぜ亀田興毅。
 
すっかり目覚めてスッキリ顔の亀のモーラ(母)がやってきてわたしを褒めてくれ、「分娩室に入ってからは1時間半のスピード出産ね」と言ったのには凄くびっくりした。体感時間は6~7時間だったのに!

 

20071119_442416.jpgその夜の夕食は懐石料理とフレンチのコースどちらか選べたのでウンポコさんと一緒に両方食べることにした。後から気付いたけれどこの産院はエステやアロママッサージまで入院カリキュラムに組まれているセレブ産院だったのだ!退院前夜も東京から来てくれた0ッ3と懐石を食べパン!とはち切れそうな乳を触らせ、酒池肉林であった。

さて赤ん坊ーー「漣(さざなみ)」と書いて「レン」と名付けられた

3420グラムの彼は同時期に生まれた新生児の中では大きい方で、顔などは周囲の赤ちゃんと比べて一回りほど大きかった。新生児室で泣き叫ぶ赤子達の中、ひとり眉根を寄せてコンコンと眠り続けるその姿は赤子ながらも畏怖堂々としており、飲むオチチの量においても授乳室にて話題を独占するほど他の追随を許さぬ一桁違う記録をたたき出し、貫禄という点においてはすでに両親ともに負けそう!なんて思ったのは親バカの始まりかしら。
 
ともかく出産から一夜あけた翌朝、新生児室を訪ねて眠っている彼を抱き上げた時、その確かな存在の重みや温もりを肌で感じて「お互いに大変だったよねえ。よく来たねえ。」と、はじめて涙がでた。
 
生命が誕生した当初の単細胞の生命体から約60兆の細胞からなる人類になるまでの38億年分の生物の進化をこのわたしの体内で苦楽を共にしながらじっと静かに、たった10ヶ月で成し遂げた同胞はその時作りたてみたいな可愛らしいちいさな口であくびをひとつ、した。

 

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